デザインにひそむ美しさの法則

デザインにひそむ〈美しさ〉の法則 [ソフトバンク新書]ご祝儀のお札はなぜ3つおりなのか、あのスイッチはなぜ押し間違えるのか。

そんな疑問をデザインの観点から、身近な実例をあげて意外なところに意外な関係を教えてくれる。

デザインの話になると「センス」や「イメージ」といった抽象的な言葉でになってしまいそうなんだけど、センシティブな裏側に隠れた「その訳」を知りたいなら、この「デザインに潜む美しさの法則」はおすすめ。

ご祝儀の3つ折から熱狂的なファンが多い黄金比、ピクトグラム、マジックナンバーにアフォーダンスそしていわゆる萌えキャラクターにいたるまで、インダストリアルデザイナーの著者が幅広く紹介してくれる。

話題は新書という事もあり、それほど深く解説はしないものの幅広く、三分割から黄金比、アフォーダンスなどなじみがあるものから、ユニバーサルデザインにかかわる認知科学にまつわるものまでデザインに興味があるけれど、どこからどうしたらいいのかわからないひとはこの一冊で全体的な「デザインの印象」を把握する事ができるだろうし、さらにもっと深く知りたい人は本書で参考文献としてあげられているものを参考にすれば、より楽しめると思う。

黄金比についてはなにかと黄金比に結びつけたがる、かなり熱狂的な黄金比ファンがいるけれども、著者は違うようで冷静に比率の一つとして書かれている。そのあたりの詳しい事は参考文献にあるマリオ・リヴォオ著「黄金比はすべてを美しくするか?―最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語」が詳しいが、どうやらよく黄金比のすばらしさの説明に引っ張りだされる、パルテノン神殿などの美しさの象徴とされているものは恣意的に黄金比が見いだされているかもしれないと書かれていて、「とりあえず、黄金比」と思っている方にはいい刺激になると思う。

この幅広くとりあげられたデザインの効用で特に感心したのがアフォーダンス。
手前に引こうと思ってもなかなか開かないドアが実は横にスライドさせるドアだったりして恥ずかしい思いをしたことがあるけど、どうもそれはすべてが僕の注意不足ではなかったらしい。
アフォーダンスの考え方によると、「モノ」の周辺に行動を起こさせる「肌理」があるとゆう。その「肌理」は決して目に見えるものではないけども、そこには確かに「こうするんだろうな」と感じさせる肌理があり、その肌理が正しい行動を起こさせ、時には間違った行動に誘導させてしまう。
いままでは、「なんとなく」押しやすいボタンとか、「普通」はこうだといったかなりセンシティブな言葉で片付けられていたものが、アフォーダンスの考え方を知る事によって、いままで「センス」の一言で片付けられていたいくつもの事を十分に納得し、理解する事ができた。

もちろん、本書「デザインにひそむ美しさの法則」で触れられるデザイン論や事柄については入り口程度でもっと深く知りたいという教書には物足りない。
が、その入り口すら知らなかった教養のない僕のような人には、わかりやすく道筋を示してくれるいい灯台になるとおもう。

目次

  • はじめに
  • 身近にひそむ美しい比率
  • 誰にでもわかるシンプルなデザイン
  • 美しさと使いやすさの法則
  • 細部に宿る美しさの法則
  • 地域と文化と歴史のデザイン
  • ユニバーサルデザインとこれから

つい僕も買ってしまった、参考文献にあげられている本も参考までに。
それぞれの事を細かく知りたい人は参考文献のリストだけでも為になると思う。

黄金比はすべてを美しくするか?―最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語レイアウトの法則―アートとアフォーダンスデザインする技術 ~よりよいデザインのための基礎知識